【果樹農家様へ】農薬指導士が注目する「これからの果樹防除」  

農業お役立ち情報

    こんにちは!川原商店の川原です。

    福岡県は、全国に誇るブランドお米の産地であると同時に、みかん、梨、ぶどう、柿、キウイフルーツなどが実る全国有数の「フルーツ王国」でもあります。

    しかし、きらびやかで美味しい果実の裏には、果樹農家様の血の滲むような努力があります。なかでも一年を通じて何度もやってくる「防除(消毒)作業」は、あらゆる農業の中でもトップクラスに過酷な重労働です。

    今回は、農薬指導士の目線から、果樹防除ならではの「壁」と、これからの時代に果樹園を守り抜くための新しい防除の可能性について語らせていただきます!

    1. なぜ果樹の防除はこれほどまでに過酷なのか?果樹園が直面する「3つの壁」

    水田や一般的な野菜畑と違い、果樹園には独特の「防除の難しさ」が存在します。現場の皆様ならきっと共感していただけるはずです。

    ① 「上を向いて歩く」という圧倒的な肉体的負荷

    背の低い作物と違い、果樹は人間の頭上に枝葉が広がります。スピードスプレイヤー(SS)が入らない狭い園地や棚栽培(梨やぶどうなど)では、重いホースを引きずりながら、防護服を着て、ずっと上を見上げてノズルを振り続ける必要があります。首や肩への負担は想像を絶するものがあり、夏のハウスや炎天下での作業は熱中症との命がけの戦いです。

    ② 斜面や段々畑という地形で起きる「格差」

    特にみかんなどの柑橘類に多いのが、傾斜地での栽培です。SS(スピードスプレイヤー)などの大型機械が使える平地ならまだしも、軽トラックすら入れない急斜面の段々畑では、すべてが手作業になります。足場の悪いなかで薬液を満載した重いホースを取り回す作業は、体力の限界を簡単に超えてしまいます。

    ③ 密集した枝葉が生む「病害虫の隠れ家」

    果樹は立体的に成長します。木の内側や葉の裏側、複雑に入り組んだ枝の隙間は、病害虫にとって格好の「隠れ家」です。しっかり狙って薬を撒いたつもりでも、少しでも撒きムラがあると、そこから一気に病気や虫が広がってしまいます。

    2. 農薬指導士の目線:果樹防除で絶対に妥協できない「適期」と「付着性」

    果樹の病害虫は多種多様です。ハダニ類、カイガラムシ類、アブラムシといった厄介な害虫から、炭疽病(たんそびょう)、黒星病(くろほしびょう)、うどんこ病などの深刻な病気まで、狙う相手によって使う農薬もタイミングも異なります。

    ここで農薬指導士としてお伝えしたい最重要ポイントは、「適期防除」「薬剤の付着性」です。

    ● わずか数日のズレが命取りになる「適期防除」

    害虫の孵化(ふか)のタイミングや、梅雨時期の病気の感染初期など、農薬が最も効く「狙い目の数日間」が存在します。この適期を逃すと、後からどれだけ強い薬を大量に撒いても効果が半減してしまいます。しかし、人手不足や天候不良で「撒きたい時に撒けない」というジレンマに頭を悩ませている農家様は非常に多いのが現実です。

    ● 葉の裏まで薬を届ける「付着性」の科学

    果樹防除の命は、いかに「葉の裏側や株元まで均一に薬を付着させるか」です。ただ上からバシャバシャとかけるだけでは、雨傘のように外側の葉が薬を弾いてしまい、内側の隠れた害虫まで届きません。しっかりと薬液を微細な霧状にし、風の力を利用して木の内側まで包み込むようにして付着させる技術が求められます。

    3. これからの果樹園を守る切り札!最新ドローン防除の可能性

    「体力が限界で、このままだと先祖代々の果樹園を畳まざるを得ない…」

    そんな切実な声を、地域の先輩方からお聞きすることが増えました。

    そこで今、日本の果樹農業で急速に注目を集め、導入が進んでいるのが「産業用ドローンによる農薬散布」です。

    「ドローンってお米(水稲)だけでしょ?」「果樹の上から撒いても中まで届かないのでは?」と思われるかもしれませんが、実はドローンの技術は果樹向けに凄まじい進化を遂げています。

    ドローンが果樹防除の常識を変える理由

    最新の果樹対応ドローンは、上空からただ薬を落とすのではありません。

    大型プロペラが回転することで生まれる「強力な下向きの風(ダウンウォッシュ)」を利用します。この強い風が、密集した果樹の枝葉をフワッと上から押し広げ、かき分けるようにして薬液の霧を木の内側や葉の裏側まで一気に押し込みます。

    さらに、SSが絶対に進入できない急斜面のみかん園や、足場の悪いウメやカキの園地でも、ドローンなら空から安全に見下ろして、1反あたりわずか数分で散布を完了させることができます。

    農家様は、重いホースを持つことも、防護服で泥まみれ・薬まみれになることもなく、安全なあぜ道から飛行を見守るだけで防除が終わるのです。

    まとめ:あなたの体と、果樹園の未来を守るために

    果樹づくりは、まさに「職人の世界」です。長年の経験と勘で、毎年素晴らしい芸術品のような果実を実らせる農家様を、私は心から尊敬しています。

    だからこそ、剪定や摘果、収穫といった「人間にしかできない職人の仕事」に大切な体力と時間を集中させてほしいと願っています。防除という一番過酷な重労働は、これからの時代、機械やテクノロジーに上手に任せていくべきです。

    川原商店では、農家様が大切に育てられた果樹の登録農薬や使用基準(無人航空機での散布登録)を農薬指導士の目線でしっかりとお調べし、ドローンを活用した新しい防除の形をご提案・サポートしています。

    「うちの果樹園の地形でドローンは飛べる?」「この果物にも使えるドローン農薬はある?」など、どんな小さな疑問でも大歓迎です。大切な果樹園と、何よりも農家様ご自身の健康を守るために、地元の頼れる仲間としていつでも気軽にご相談くださいね!福岡の美味しいフルーツの未来を、一緒に守っていきましょう!

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